大阪体育大学の指揮を取る二足の草鞋を履く村上氏

「村上雷太」
剣道関係者の間で話題になっているこの名を剣道に関わりの方であれば恐らく知っているでしょう。彼は、実は大阪体育大学の監督を務めながら現役も続けるという二足の草鞋を履く監督兼選手なのです。きわめて異例な経歴を持つ彼ですが、一体どんな監督であり、そして選手なのでしょうか。今回は、プレイングマネージャー村上雷太氏について紹介を致します。

2つの顔を持つ剣士

元々は筑波大学出身

彼は学生時代は筑波大学で選手として活躍をしていました。真っすぐで非常に綺麗な構えから豪快な攻撃を見せていました。ちなみに筑波大学と言えば大学剣道界の頂点を極めようとする猛者たちが入ってくる大学です。そこで、活躍を見せていた事を考えれば選手としてかなりの実力を秘めていた事は間違いありません。桐蔭学園での活躍も覚えている方もいらっしゃるでしょうか。

現在も現役の選手として活躍中

現在も現役の選手として活躍する村上選手はなんと剣道の最高峰である全日本剣道選手権大会への出場も果たしています。しかも激戦区である大阪からの出場という事もあり、上位進出も狙えるのではないかと期待が高まります。

もう1つの顔は大阪体育大学の監督

そして、彼のもう1つの顔は大阪体育大学の剣道部監督であるという顔です。自身も現役プレイヤーという中で学生の指導に当てなければいけない時間が多い中、自らも最高峰の戦いにコマを進めるという偉業をなしている事から並大抵の実力ではない事は明白です。

村上選手の過去に迫る

村上氏の剣道との出会いは早かったです。兄2人も剣道をしていたことから幼い頃より剣道に親しみを感じ、5歳で剣道を始める事になります。元々体格は恵まれていたのに加えて非常に熱心に稽古に励んだため、ドンドン腕を上げていきました。小学校で全国2位、中学で団体優勝、個人2位と早くも才能を開花させます。その後は、神奈川県の桐蔭学園高校に進学をし、ここでも1，2年時団体で2位、3年時に個人で3位という目覚ましい結果を残し、大学剣道の名門筑波大学へと進学する事になります。そして、ついに念願の団体優勝を果たした村上氏は多くの同友が進む警察として剣を極める道ではなく、「日本一の剣士を育てたい」という思いから教師の道を目指す事になります。

選手として躓きながらも学生に背中を示す

当然、警察で剣の道に明け暮れる剣士たちに比べると稽古に取れる時間は少なくなります。稽古環境も全国から強豪が集まる警察とは違い、稽古の相手は学生だったりとレベルの違いは免れません。しかし、そんな中でも地道に稽古を続け、なんと3年に一度行われる剣道世界大会の強化選手に選ばれるなど機会をものにしていきました。代表選出とはならなかったものの、そこで全国のレベルの高い選手としのぎを削り、自身も技を磨いていきます。

監督として手腕を振るう

選手としても初の選手権出場を果たしている村上氏ですが、本業となる監督業に関しても非常に目覚ましい成果をあげています。なんと、彼が監督に就任してから大阪体育大学は全日本学生剣道選手権大会にて団体戦優勝を果たしています。

H28 第64回全日本学生剣道優勝大会　1本集

では、忙しい日々の中でなぜ彼は監督としても結果を出せるのでしょうか。その秘密について紹介していきます。

村上氏が監督としても結果を出せる理由1 現役目線での指導

やはり大きな要因は村上氏本人が現役の選手であるという事です。自身が現役の選手としてプレーしているからこそ感じる練習の無駄や、相手選手の弱点など現役ならではの特徴を上手く生かした指導をしている事が考えられます。学生にとっても監督の言っている事が的を得ているという感覚を得られる事で、より監督の言葉を信じる事が出来ます。

村上氏が監督としても結果を出せる理由2 教員としての強み

教員として教壇にも立つ村上氏は実践で得た知見をただ単に生徒に教えるのではなく、理論的にも展開をしています。実際に「スポーツ教育学」「武道論」「コーチング法」などを学び教えている村上氏ですから、体系だった話をする事も朝飯前です。一般的に武道系の先生はどちらかというと感覚論的な指導をする事が多いですが、実践に基づいた理論を展開する事で学生にとってはよりしっくりと理解をする事が出来ます。腑に落ちて稽古に臨めば成果を上げやすくなることは言うまでもありません。

村上氏が監督としても結果を出せる理由3 時間が無い事がかえって武器に

選手としても稽古を行い、監督業もこなす以上時間の制約はどうしても出てきます。そんな中で限られた時間をどう使うかは誰よりも考えるでしょう。それが結果的に全体の稽古の効率化を生み、より短時間でも効果のある稽古を実践できているでしょう。

今後も、数少ないプレイングマネージャーとして目が離せません。